ヤッコソウ
離弁花類 ヤッコソウ科
ヤッコソウ |
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この科は完全な寄生生活を営み、葉緑体を持たない。葉は燐片状に退化し、大部分の種が熱帯に分布する。日本ではヤッコソウ一種がある。
巨大な花をつける熱帯性のラフレシア・アーノルディイはヤッコソウ科に属しブドウ科の植物に寄生する。
ヤッコソウ科ヤッコソウ属ヤッコソウ
Mitrastemon.yamamotoi
幡多の山本さんが幡多のシイ林で発見して、牧野富太郎博士が命名。発見地・発見者・命名者すべてが高知。種小名は発見者への献名になっている。奴(やっこ)の群れが練り歩く姿からとったという。
四国、九州、沖縄に見られる。徳島県海部町奥浦が分布の北限と言われる.
ツブラジイやスダジイの地表近くの根に寄生する一年生の寄生植物。花茎は5~7Cmになり、多肉質で乳白色。
受粉のしくみ
めしべの花被片は合着して筒状になり、子房を囲み、果期の最後まで残る。開花期はばらつきがあり、群落内でさまざまな時期の個体が隣接する。
1 雄性期
おしべの花糸・葯も合着し、おしべ全体が帽子状になり、めしべの柱頭と子房を上から覆い、粘液状の花粉が黄色がかったリング状の葯から分泌される。
2 雌性期
花粉が出なくなったおしべはすっぽり抜け落ち(3)柱頭が露出して受粉を待つ。
蜜は燐片葉の上部つけね(写真内の→部分)に大量に分泌されており、蜜を摂食した昆虫や鳥類(メジロ)は花粉を運ぶ。
受粉が完了した個体は柱頭が黒褐色に変色し(冒頭写真)、合着した花被片に保護された子房内部には多数の微小な種子がつくられる。熟すると液果状になり、そのまま冬越しをする。
ヤッコソウが棲みついたあとシイの根はケロイド状になる。
室戸では
11月に開花し、12月に入るとほとんどの個体が受粉を終えて柱頭が黒くなるが、開花時期のばらつきが一ヶ月あるので12月でも開花がみられる。年により個体数が増えたり減ったりする。
最御岬寺・・・本堂に向かって右側に教育委員会のヤッコソウ案内板があり、ヤッコソウの群落は石垣の上のシイの根に群生している。コンクリートブロックや木片で囲われている。
金剛頂寺・・・境内右に教育委員会のヤッコソウ案内板があり、そこから5メートルほど入ったシイの根もとにヤッコソウのための囲いが設けられている。また境内の東奥のシイ林床には多数のヤッコソウ群落が見られる。一歩ずつ確かめて足を下ろさないと踏み潰すので注意。境内から一段下がったトイレの奥のシイにもヤッコソウのための囲いがある。