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室戸市教育委員会

Muroto City Board of Education

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室戸の自然

資料1
資料1
資料2
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資料3
資料3
資料4
資料4
観測坑入り口
観測坑入り口
資料5
資料5
水管傾斜計 : 坑内に設置された水管傾斜計と伸縮計
水管傾斜計 : 坑内に設置された水管傾斜計と伸縮計
水管傾斜計 : 坑内に設置された水管傾斜計と伸縮計
水管傾斜計 : 坑内に設置された水管傾斜計と伸縮計
伸縮計の自由端と吊金具
伸縮計の自由端と吊金具
伸縮計の固定端と感度検定用アクチュエータ
伸縮計の固定端と感度検定用アクチュエータ

◆糸魚川以西の地質概略
◆室戸半島地質図 1989 須鎗ほか
◆海洋科学技術センターの高知県室戸岬沖の「海底地震総合観測システム」パンフレット原文
 (付加体理論にもとずく海底地形の図がわかりやすいです)
◆東京大学の室戸地殻変動観測所 ホームページ原文
 (みずかけ地蔵脇の駐車場)
◆一般に入手しやすい参考書
 高知新聞社 「南海地震にそなえる」 高知新聞社
 平 朝彦 「日本列島の誕生」 岩波書店
 鈴木 尭士他共著 「日本の地質8 四国地方」 清文堂
 鈴木 尭士 「四国はどのようにしてできたか」 南の風社

高知県室戸岬沖「海底地震総合観測システム」の運用開始及び得られた画像について

平成9年4月24日 海洋科学技術センター

 海洋科学技術センター(理事長 平野 拓也)は、高知県室戸岬沖に「海底地震総合観測システム」を設置し、地震、津波および深海環境変動等のリアルタイム観測を開始しました。

1.目的

 深海底では、地震、火山噴火、熱水の噴出、特殊な生物群集など、陸上に災害を及ぼす地殻変動が起きたり、解明されていない現象が多数存在することが明らかになってきました。

○海域における地震調査研究の推進

 我が国の陸上に多大な被害を及ぼす巨大地震の多くは海底で発生しています。 今回、「海底地震総合観測システム」を設置した高知県室戸岬沖およびその周辺海域は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートとの衝突に起因して、1944年の東南海地震など、巨大地震が多発し、海底下の地殻変動が活発な海域として知られているにもかかわらず、海底地震観測の空白域となっております。

 一方、地震調査研究推進本部(本部長:科学技術庁長官)においては、現在、地震に関する調査観測計画の策定を進めており、その中でケーブル式海底地震計の敷設の重要性が謳われています。ケーブル式海底地震計による地震観測は、海域において発生する地震活動の詳細の把握に有効であり、本システムの稼働が当該海域で発生する地震の震源決定精度の飛躍的な向上等に貢献するものと期待されています。

 以上の背景のもとに、海洋科学技術センターは、関西・四国方面の海側の観測空白域を埋める重要な海底地震観測網として、本システムを高知県室戸岬沖に設置することと致しました。

 また、海洋科学技術センターでは、巨大地震の発生する海溝域等の精密な最上部マントルまでの地下構造を解明するため海底下深部構造フロンティア研究を実施しておりますが、本システムにより提供される地震・津波のみならず数多くの物理量のリアルタイム観測データは、先ほど完成した深海調査研究船「かいれい」によるマルチチャンネル反射法探査装置により得られる地殻構造データと合わせて本研究の推進にも貢献します。

○深海環境の変化と海底変動現象との相関関係の究明

 シロウリガイは、断層面に沿って地下から湧出する間隙水に含まれる、メタンや硫化水素をエネルギー源として生息する特殊な生物です。シロウリガイの生息環境は、この湧水(量および含まれる成分)に依存しており、湧水は海底下の活動(地下のマグマ活動や断層面に加わる応力)を反映していると考えられていることから、これら特殊な生物群集の変化と海底変動現象は何らかの相関がある可能性があります。

 水深3,572mの深海底に設置された本システムの先端観測ステーションは、カラービデオカメラを装備していますが、この様な深海底でビデオカメラによる長期観測を開始するのは世界で初めての試みです。このカラービデオカメラにより、水深3,572mの深海底に棲息するシロウリガイの姿を鮮明に映し出しました。(別添参照)

 また、先端観測ステーションに搭載されている塩分・水温・深度計(CTD)からは、平均して35パーミル(塩分濃度)、1.5℃(水温)程度の値をリアルタイムで送り続けています。本システムには、カラービデオカメラの他、塩分濃度、水温、地中温度計等が装備されており、これら深海底における生物学的、物理的な環境の変化と地震等の海底変動現象との相関関係を長期的に観測することが可能となります。

2.システムの構成

 「海底地震総合観測システム」は、室戸岬沖から南海トラフに至る海域の地震、津波等の海底変動や深海環境をリアルタイムで観測することを目的としています。

 本システムは、“ケーブル型海底観測ステーション”と“展開型海底観測ステーション”とで構成されており、今回、“ケーブル型海底観測ステーション”の運用が開始されました。

 “ケーブル型海底観測ステーション”は、光ファイバーケーブルで接続された海底地震計2台、津波計2台及び先端観測ステーションで構成され、高知県室戸岬から沖合い約100kmまでの間の、水深1,286mと2,116mに海底地震計(計2台 )、水深1,54 4mと2,384mに津波計(計2台)及び水深3,572mに先端観測ステーション(1台)を設置しました。先端観測ステーションには,カラービデオカメラ(首振り機構付)、水中ライト(6台)、地中温度計(2台)、流向流速計、CTD(導電率(塩分)・水温・深度計)、ADCP(ドップラー式音響流向流速計)などが装備されています。

 これら観測機器により得られたデータは、光ファイバーで陸上局にリアルタイムで送られます。さらに、カラー画像を含む観測データは,室戸陸上局から専用電話回線で海洋科学技術センター(神奈川県横須賀市)まで送られています。

3.今後の予定

 「海底地震総合観測システム」は、本日から本格的に運用を開始致します。

 今後、観測データをもとに、地震につながる深海の諸現象や、深海環境、生物生態等を総合的に解明していく予定です。

 また、地震及び津波データは、気象庁大阪管区気象台にリアルタイムで伝送され、四国沖南海トラフで発生する地震の総合判定に利用される予定です。

 「海底地震総合観測システム」を構成する「展開型海底観測ステーション」については、浅海域で実証試験を行ったのち、本年夏頃に高知県室戸岬沖約250kmの四国海盆(水深約4400m)に設置する予定です。

問い合わせ先:海洋科学技術センター

 総務部普及・広報室 鎌田、杉山 TEL0468-67-5502
 深海研究部     岩瀬    TEL0468-67-3840用語解説
 パーミル;千分率(パーセントは百分率)


参考資料

1「ケーブル型海底観測ステーション」に搭載された観測機器

2「海底地震総合観測システム」概念図

3ケーブル敷設ルート

4写真1 先端観測ステーション
 写真2 海底地震計
 写真3 津波計


「ケーブル型海底観測ステーション」に搭載された観測機器

1 海底地震計 2台

 四国沖南海トラフや周辺で発生する地震を観測する

2 津波計 2台

 地震発生に伴う津波の発生を観測する

先端観測ステーション

1 カラービデオカメラ 1台

 シロウリガイなどの深海生物を観測する

2 ハイドロフォン 1台

 地震や火山噴火にともなう水中音を観測する

3 地中温度計 2台

 シロウリガイ周辺の地中の温度勾配を測定する

4 CTD(導電率(塩分)・水温・深度) 1台

 海水の導電率(塩分)、水温、圧力変化を測定する

5 ADCP(ドップラー式流向流速計) 1台

 海底付近の流れを二次元的に測定する

6 流向流速計 1台

 海底付近の流れを測定する

7 水中ライト 6台

 カラービデオカメラ撮影用照明


はじめに

日本は環太平洋地震帯に位置しており、世界でも有数の地震・火山国であり、地震・火山による被害は避けられません。1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震(M=7.2)は地震の恐ろしさを改めて認識させました。しかしこの活発な地殻活動により、日本は美しい国土や栄養豊かな土壌による多様な植物資源に恵まれています。日本に生活する以上、地震のことをよく理解し対処していくことが必要です。地震の起こるところは大体決まっており、繰り返し発生しているのです。小さな地震はたくさん発生しています。和歌山観測所においては、1988年から1995年まで約4300個の微小地震が震源決定がされています

室戸観測所の沿革

1946年に南海地震(M=8.0)が発生し、四国・近畿をはじめ広範囲に多大な被害をもたらされました。21世紀に再び南海地震が発生することは間違いありません。このために将来の南海地震の予知および地球物理的研究を目的として、1995年に室戸岬の先端に横坑の観測点を設置しました。前回の南海地震の前後において水準測量による上下変動のデーターに室戸岬と潮岬の付近が大きな上下変動を記録したことを考慮して潮岬においても250mのボアホール観測点を設置しました。2個所の観測データーの比較解析により、異常地殻変動の検知能力が向上すると期待されます。

室戸地殻変動観測所における観測計器と特徴

観測所は観測用のトンネルから成っており、全長約140mで被りは約80mです。観測計器は非常に高感度であるため、気温変化の影響を避けるためにトンネルの奥に設置されています。観測計器は水晶管伸縮計(18m,3成分)、自記水管傾斜計(20m,2成分)、広帯域地震計(3成分)、温度計(2ヶ所)などが設置されています。伸縮計の感度検定はコンピューターコントロールにより固定端を移動させる自動検定を新しく開発し、適用しています。リニアアクチュエーターにより、水晶管を前後させるもので再現性も十分です。自記水管傾斜計は、震研90型で感度検定は中間の小型ポットをコンピューターコントロールにより上下する自動検定です。、潮岬観測点の観測計器は、地震予知研究のために地震研究所で新しく開発したもので、ジャイロを装備し、歪(3成分)、傾斜(2成分)、加速度(3成分)、温度などの観測が可能な地殻活動総合観測装置です。観測データは電話回線により東京の地震研究所に伝送されデータベースに蓄積されています。